半知録

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『日知録』易篇訳「山上有雷小過」

山上有雷小過

 

〔原文〕

山之高峻、雲雨時在其中閒、而不能至其巓也。故『詩』曰、「殷其靁、在南山之側」、或高或下、在山之側、而不必至其巓、所以爲小過也。然則大壯言「雷在天上」、何也。曰、「自地以上皆天也」。

 

〔日本語訳〕

山の高峻においては、雲雨の時は山の中腹に位置して、その山頂までには至ることはできない。それゆえ『詩』に「おどろおどろと鳴る雷は、南山の側でとどろく」とあるのは、〔中腹より〕あるいは高くあるいは下で、山の側でとどろき、かならずしもその山頂には至らない。そのことから小過(少しく過ぎる)とされるのである。そうであるならば、大壮に「雷は天上にある」と言うのは、どうしてか。いわく、地より以上はみな天であるからである、と。

 

〔解説〕

「自地以上皆天也」については、『日知録』「天在山中」の項を参照。