半知録

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『日知録』易篇訳「過此以往未之或知也」

過此以往未之或知也

 

【原文】

人之爲學、亦有病於憧憧往來者、故天下之不助苖長者寡矣。「過此以往、未之或知也。「居之安、則資之深。資之深、則取之左右逢其原」。

 

【日本語訳】

人には学んでも、心が定まらず右往左往することを憂える者がいる。それゆえ天下には〔不必要に〕苗を助けて成長させようとしない者は少ない。〔咸の九四爻辞の〕「これを過ぎて往くのは、もはや知ることはできない」とは、〔『孟子』にみえる〕「道に安住すれば、物事の本質を捉えることが深くなり、物事の本質を捉えることが深くなれば、どんな事柄でもその本質を捉えその根源にふれてくる」境地に至ったことを言ったものである。

 

【解説】

「天下之不助苖長者」とは、『孟子』公孫丑篇上にみえる「助長」の説話。「居之安、則資之深。資之深、則取之左右逢其原」は、『孟子』離婁篇下の言葉。