半知録

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2021-01-01から1年間の記事一覧

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」③

【要旨】 『周易伝義大全』の朱熹の『本義』との異動、程頤の『易伝』の影響を論じる。後世の人士は、専ら『本義』で学び、程頤の『易伝』を嫌った。 【原文】 「彖即文王所繫之辭傳者、孔子所以釋經之辭也。後凡言伝放此」、此乃彖上傳條下義。今乃削「彖上…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」②

【要旨】 費直・鄭玄・王弼によって、伝が経の卦爻の下に附されるようになり、乱されてしまった。程頤の『周易程氏伝』ではこの形によったが、朱熹の『周易本義』に至って古形に帰った。しかし、明朝の『易経大全』では、『周易本義』の巻次が切り離され、朱…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」①

朱子周易本義 【要旨】 『周易』は、伏羲が八卦を画き、文王が卦辞を作り、周公が爻辞を作ることにより、上下経二篇となった。孔子は十翼を作った。前漢では、経と伝は別に行われていたが、後漢に至って、合せられて一書となった。 【原文】 『周易』自伏羲…

『日知録』易篇訳「重卦不始文王」

重卦不始文王 【要旨】 夏と殷の占筮書である『連山』『帰蔵』には、『周易』と同様に、八卦そしてそれを重ねた六十四卦があった。文王が初めて八卦を重ねて六十四卦としたわけではない。 【原文】 大卜掌三易之法、其經卦皆八、其別皆六十有四。攷之『左伝…

『日知録』易篇訳「三易」

凡例 一、底本は黄汝成『日知録集釈』(同治八年広州述古堂重刊本)とし、『集釈』は省いた。 二、本文は『原抄本日知録』(文史哲出版社、一九七〇年再販本)や原拠によって校訂する場合がある。諱字は原字に戻した。 三、原注は【 】によって区別した。 三…

漢代揲筮考(一)

中国古代の占い書である『易』は、蓍または筮竹といった長い棒を使って卦を導き出し占う。日本の易者は、和服を着て、利休帽をかぶり、机の旁に筒に入った複数の棒が置かれることによって表される。その棒こそ易占で使う筮竹を表している。その棒があること…