半知録

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2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『日知録』易篇訳「互體」

互體 〔要旨〕 互体説は、二爻より四爻に至るまで、あるいは三爻より五爻に至るまでで一卦をなす説である。それは、すでに『春秋左氏伝』にみえている。しかし、孔子は互体説について言及しておらず、後人が互体説の根拠として繋辞伝の「雑物撰徳」や「二与…

『日知録』易篇訳「卦變」

卦變 〔要旨〕 卦変説は、孔子に始まるわけではなく、周公の爻辞にすでにみえている。卦変説は、乾・坤からの変化を基礎とするのであり、十二消息卦の変化に拠るのではない。 〔原文〕 卦變之説、不始於孔子、周公繫損之六三已言之矣、曰、「三人行則損一人…

『日知録』易篇訳「卦爻外無別象」

卦爻外無別象 〔要旨〕 文王と周公は、卦の形象がもつ意義を観察して占辞を書き足した。孔子は伝を作ったが、決して一象も増設しなかった。しかし、荀爽・虞翻の徒が、本来の卦象の他に新たな象を生み出し、『易』の大旨を乱した。王弼がそうした余計なもの…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」⑦

【要旨】 科挙の受験生たちは大義を理解せず暗誦するばかり、その出題は伝を主として経を客とし、射覆のような有様となっている現状を、五経は亡んでしまったと嘆く。 【原文】 秦以焚書而五經亡、本朝以取士而五經亡。今之爲科擧之學者、大率皆帖括熟爛之言…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」⑥

【要旨】 象伝に「亦」とあるのは、上文の伝を承けたのだとする説を論じる。 【原文】 程『傳』雖用輔嗣本、亦言其非古易。咸九三「其股、亦不處也」、傳曰、「云『亦』者、蓋象辭本不與易相比、自作一處、故諸爻之象辭意有相續者。此言亦者、承上爻辭也」。…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」⑤

【要旨】 経と伝とが渾然一体となる過程を論じ、今の『易』の乾卦の構成が費直が雑えた形で、坤卦以下の構成が鄭玄が連ねた形だと推す。 【原文】 朱子「記嵩山晁氏卦爻彖象説」謂「古經始變於費氏、而卒大亂於王弼」、此據孔氏『正義』曰、「夫子所作象辭、…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」④

【要旨】 『周易伝義大全』の程頤の『易伝』を除き去り、朱熹の『本義』を 残した本が現れた。しかし、朱熹が定めた古形がまた錯乱した状態に戻った。それら本が用いられ、朱熹が定めた古文『易』の形が世に行われていない現状を嘆く。 【原文】 而『大全』…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」③

【要旨】 『周易伝義大全』の朱熹の『本義』との異動、程頤の『易伝』の影響を論じる。後世の人士は、専ら『本義』で学び、程頤の『易伝』を嫌った。 【原文】 「彖即文王所繫之辭傳者、孔子所以釋經之辭也。後凡言伝放此」、此乃彖上傳條下義。今乃削「彖上…

『日知録』易篇訳「朱子周易本義」②

【要旨】 費直・鄭玄・王弼によって、伝が経の卦爻の下に附されるようになり、乱されてしまった。程頤の『周易程氏伝』ではこの形によったが、朱熹の『周易本義』に至って古形に帰った。しかし、明朝の『易経大全』では、『周易本義』の巻次が切り離され、朱…