半知録

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2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『日知録』易篇訳「巳日」

巳日 〔要旨〕 革にみえる「己日」は、十干の「己」の意味である。「己」は、十干の中間にあり、まさに変化しようとする時にあたる。さらに「己」の次の庚は、更めるという意味がある。革の卦辞「己日乃孚」とは、天下の物事は己日の半ばを過ぎてまさに変化…

『日知録』易篇訳「以杞包瓜」

以杞包瓜 〔要旨〕 姤の一陰が一番下にあるのは、瓜が生じ始めて、蔓を延ばして上に及ぼうとするようなものである。姤九五爻辞「杞を以て瓜を包む」とは、杞(おうち)を植えて、瓜の蔓が上に及ぼうとすることを防ぐことを言ったものである。 〔原文〕 劉昭…

『日知録』易篇訳「包无魚」

包无魚 〔要旨〕 「魚」は民を喩えられる。魚が逆流して上るのは、民が君主に反抗の気持ちが起こった表れである。姤九四爻辞「包无魚、起凶」とは、そのことを述べたものである。 〔原文〕 國猶水也、民猶魚也。幽王之詩曰、「魚在于沼。亦匪克樂。濳雖伏矣…

『日知録』易篇訳「姤」

姤 〔要旨〕 天下は、ひとたび治まればまた乱れる。邪説の起こることと世の浮き沈みとは、聖人でも除くことはできない。姤の「金柅に繫ぐは、柔道牽けばなり」は、そのことを述べたものである。 〔原文〕 天下之生久矣。一治一亂、盛治之極而亂萌焉。此一陰…

『日知録』易篇訳「利用為依遷國」

利用為依遷國 〔要旨〕 益六四爻辞の「用て依るところを為し國を遷すに利あり」とは、安定した国でも有事の国でも、臣下が公正な判断で君主に告げたことにもとづき国を遷すことに利益があるということ。 〔原文〕 在無事之國而遷、晉從韓子之言而遷於新田是…

『日知録』易篇訳「上九弗損益之」

上九弗損益之 〔要旨〕 君子が適切な方策を行えば、なにも失うこともなく民の生活を厚くすることができる。損上九爻辞の「損せずして之を益す」とはそのことを言ったものである。 〔原文〕 有天下而欲厚民之生、正民之德、豈必自損以益人哉。不違農時、榖不…

『日知録』易篇訳「損其疾使遄有喜」

損其疾使遄有喜 〔要旨〕 不善を減らし善に従う者は、剛陽より尊ぶものはなく、速やかなるより貴ぶものはない。損の初九に「事を己めて遄かに往く」とあり、六四には「遄かならしめば喜び有り」とある。損の六四が速やかに行動できる理由は、その初九の剛陽…

『日知録』易篇訳「有孚于小人」

有孚于小人 〔要旨〕 君子は、小人のすべてを見通せ、惑わされることなく従わせることができる。それゆえ小人を心服させるのである。解の六五爻辞「小人に孚有り」とは、そのことを言ったものである。 〔原文〕 君子之於小人也、有知人則哲之明、有去邪勿疑…

『日知録』易篇訳「罔孚裕无咎」

罔孚裕无咎 〔要旨〕 晋初六の爻辞の「孚罔なきも裕にすれば咎无し」とは、どんなに役職にあっても、その職責を全うすれば咎はないということである。もし職責を全うできなければ去る。 〔原文〕 君子信而後諫、未信則以爲謗已也。而況初之居下位、未命於朝…

『日知録』易篇訳「天在山中」

天在山中 〔要旨〕 大畜の象伝に「天が山中にある」というのは、地より上は「天」とされるからである。 〔原文〕 張湛注列子曰、自地以上皆天也。故曰天在山中。 〔日本語訳〕 張湛が『列子』に注釈して、「平地より上はみな天である」と言っている。それゆ…