半知録

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2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『日知録』易篇訳「巽在牀下」

巽在牀下 〔原文〕 九二之「巽在牀下」、「恭而無禮則勞」也。初六之「進退」、「愼而無禮則葸」也。 〔日本語訳〕 巽の九二の「巽いて床下に在り」というのは、〔『論語』の〕「うやうやしくても礼節がなければ疲れるだけ」ということである。初六の「進退…

『日知録』易篇訳「鳥焚其巣」

鳥焚其巣 〔要旨〕 人主の徳は、人に謙るより重要なものはない。旅の上九は、卦の一番上、離の極みであり、君主が横暴に振る舞うような位置にある。矜持を持って、諫争の論に耳を傾けなければ、その災禍は身に及ぶ。旅の上九爻辞「鳥其の巢を焚く」とは、そ…

『日知録』易篇訳「君子以永終知敝」

君子以永終知敝 〔原文〕 讀新臺・桑中・鶉奔之詩、而知衛有狄滅之禍。讀宛丘・東門・月出之詩、而察陳有徵舒之亂。書「齊侯送姜氏於讙」、而卜桓公之所以薨。書「夫人姜氏入」、書「大夫宗婦、覿用幣」、而兆子般・閔公所以弒。昏婣之義、男女之節、君子可…

『日知録』易篇訳「鴻漸于陸」

鴻漸于陸 〔要旨〕 漸の九三と上九の爻辞「鴻漸于陸」とあり、胡瑗や朱熹などは「陸」を「逵」に改めるべきだとするが、誤りである。朱熹は「逵」と「儀」と韻が合うといっているが、実は押韻していない。鴻は、漸の九三で陸に進み、上九で翻って陸に帰る。…

『日知録』易篇訳「艮其限」

艮其限 〔原文〕 學者之患、莫甚乎執一而不化。及其施之於事、有扞格而不通、則忿懥生而五情瞀亂。與衆人之滑性而焚和者相去、蓋無幾也。孔子惡果敢而窒者。非獨處事也、爲學亦然。告子不動心之學、至於不得於言、勿求於心、而孟子以爲其弊必將如蹶趨者之反…

『日知録』易篇訳「艮」

艮 〔要旨〕 艮の卦辞「其の背に艮まり、其の身を獲ず、其の庭に行き其の人を見ず」とは、臆断せず、無理押しせず、意固地にならず、我を張らないし、富貴でも志を乱すことはできなく、貧賤でも志を変えることできなく、威武でも志を屈服させることできない…

『日知録』易篇訳「改命吉」

改命吉 〔要旨〕 革の九四は、諸侯が天子の位に進もうとする、湯武革命を表した爻である。ただ湯王や武王は武力を使ってまで討伐したことに悔いがったが、天下は湯王や武王を指示した。そのことから、その爻辞に「悔い亡び、命を改むるは吉」とあるのである…